神保町の美容院Berry(ベリー)の歴史

第7章 拝啓 オフクロ様

第7章 拝啓 オフクロ様

前略オフクロ様

こうやって手紙を書く事なんか、
中・高の寮生活以来だね。

えぇ~っと、何を書こうかな?

オフクロが居なくなってから、
かれこれ49日が来ようとしていますが、

相変わらずオヤジを始めアネキ、美紗子、そしてボク。
またそのそれぞれの家族達。

みんなみんなまだまだオフクロが居ないという生活に慣れてはいないというのが正直な状態です。

オフクロだって同じだよね。

夢で「私だってつらい。」って泣いてたもんな。

あの夢で「あぁ~、オヤジとオフクロは、今居る場所は違えどやはり一対なんだな。今の肉眼で確認出来るオヤジの現状そのままが、御霊となってしまったオフクロそのままなんだな。」って気が付いたよ。

それまでは「勝手に気持ち良くお風呂に入りながら逝っちゃって!残ったボク達はどうすればいいんだよ!」

って責めてばかりいたけど、そうなんだよね。
オフクロだってまだまだオヤジと一緒にやりたい・行きたいって言ってた事がいっぱいいっぱいあったもんな。

オヤジ1人残してさっさと自分1人で行くようなオフクロじゃないもんね。

さてさてボクの話をするね。

オフクロが死んでから、
それこそ来て下さるお客様お客様から、
励まし、叱責、同情、そして涙。
いっぱいいっぱい頂きながらの経営です。

正直、居なくなったばかりの当初は、
経営する事、これから2児の父親になる事、
それだけでなく、今まで培って来た仕事である美容師。
それすらもオフクロが居ないと思うだけで、
全く自信が無くなってしまい、ハサミまで震えてなかなか時間通りに仕上げられないってまでいってしまいましたが、

あるお客様に、
「40近くにもなって母親の死でここまで落ち込む息子なんか初めて見たよ。腹が立つのは承知の上で1言言わせて貰うよ。あなたが死んで今気付いた事がもし、お母様が10年長生きしてご覧なさい。あなた幾つ?50でしょ!50からしっかり自分の足で歩き始めたとしたら、遅すぎてあなた自身は子孫にまた自分自身にも、中途半端なままで人生終わっちゃうわよ。この40って歳で母親から卒業し、頑張れるんだから良かったのよ!「お母さんありがとう!これからは息子からは卒業します!」って生きていくには丁度いい時期だったのよ!」

また尊敬するお方からも直接にご心配頂き、こんなメッセージを頂きました。

「徐々にこの悲しみを癒していくなんて甘ったれた事を言っているんじゃない!思いは瞬時に、「たった今」「すぐに」
変える事が出来る!実行、行動はホンの小さな事をコツコツと積み上げる事でしか身には付かないが、思い「だけは」「スグ」変えられる!母親の死を受け入れ、この死を無駄にしないよう!お前はここで「男になれ」その為に「奮起しろ!」!」

すごいでしょ?
ボクだってオフクロに直接は言っては貰えなくなったけど、
こんなにもすごいお言葉をかけて下さるお客様・知り合いが周囲に居るという人間に育っているんだからね!

ダラダラ書いてしまったけど、
今のボクのこの思い。
「オフクロの死を絶対に無駄にしない!」
「この経験を必ず成長の糧とし、生かしきる!」

この決意だけはどうか分かってくれないかなぁ~?

出来れば、オフクロが居る時にこの気持ちこの決意に気付きたかった。そしてその思いを胸にコツコツと小さな事を積み上げていくボクをその目で見て貰いたかった。

死んで気付くなんてやっぱまだまだ「息子」だわな。
っていうより「ガキんちょ」だったよ、、、。
オフクロが居るまでは何の成長もせずに、それこそ小学生の頃と同じ様に、
「何かあったら必ずオフクロが何とかしてくれる。」
ってどっか安心していた所があったんだよ、恥ずかしいけど。

でも、もう気が付いたから。
ボクがこれからどう生きたらいいのかが。

それこそ「志」ってもんに。
「志」って自分の命より上に掲げるものなんだって。

その「志」が無い人間ってどっか薄っぺらいんだって。

だから今までボク「薄っぺらい」「口だけ達者」な「頭でっかち」だったんだなぁ~。

でももう大丈夫。

ボクにも「志」が決まったから。

これからの生き方もちゃんと気が付いたから。

ここで書いちゃうと書いた時点で「薄っぺらい」ものになりそうだから、内容はボクの胸にしまっておくね。

って言っても御霊になったオフクロならもう分かっているんでしょ?

当たっているでしょ?これでいいよね?

これってオフクロもボクにそうあって欲しいそう思って欲しいって思ってたやつでしょ?

ねっ?ねっ?

大きく違っているとは思えないので、
微調整はこれからボクの傍で成長を見守りながら、
その都度気付かせ、導いて下さいよ!

ボクが気付くまでしつこく何度でも教えてよ!

ボクのすぐ近くにいつもいつも居てくれているのは、
充分に感じているから。

これからも、みんなの事、今までと同じように大きな愛で見守って下さいな。

ありがとうございました!

あなたの最愛の頼りの無い息子より

(平成22年3月21日 店主記)